塾員 in 台湾
                                                      File.9

- 台湾でのお仕事上、今まで何か戸惑ったり、困ったりしたことがありましたらエピソードを交えてお教え下さい -

 台湾法人の主業であるセールスプロモーション代理店の仕事は、皆様の会社の製品が店頭で販売される際に、台湾台湾の消費者の方々がその製品を選んで買っていただけるよう人目を引くサインを置いたり、おまけを付けたり、抽選で賞品が当たるといったキャンペーンを企画したりすることですが、それだけに台湾の人達の文化・考え方と直接対峙する場面にいます。そのような中で単におまけと言っても、しっかりお客様の製品ブランドのコンセプトやイメージを訴求できるような外観デザイン・色相・素材感・機能といったものに落とし込んでいくのですが、本来のイメージは淡色系なのに台湾文化を考えて濃色の赤や金色を使わなければならないとか、進出初期の頃は、自社やお客様のローカルスタッフと打ち合わせする際、かなりの葛藤がありました。また、プロモーションの手法でも製品に直接景品を付けたり、ギフト箱に同梱しても、その一緒になっている価値を販売店主さんや販売員さんさん達に理解していただけず、バラバラにされてそれぞれ別々に売られていた光景には、正直のところ、怒りを通り越して、思わず吹き出してしまったこともあります。


-上海と台湾とでは、仕事のしやすさ、人々との付き合いやすさなど、どのような違いがあると感じていらっしゃいますか?大陸で仕事をする際のアドバイスなどがございましたら是非お願いします-

 少々抽象的な表現になりますが、香港・マレイシアも含め、中国人という単一民族はないので、共通項を括る様な公式は無理に当てはめられません。
したがって、いかに多くの物差しを持って、様々な尺度に対応出来るかが肝要で、その物差しの種類を増やすためには、如何に多くのローカルの方々との接点・ネットワークを持てるかが鍵となります。そういった意味で、今は上海の3倍の長きに亘って関わってきた台湾の物差しの方を多く持っており、その分、仕事や人々との付き合いはしやすいと感じています。

 そして、何よりも肝要なことは、日本人としての物差しもしっかり使うべきところでは使うことと思います。台湾や上海での仕事や人々との交流を通じ改めて認識した日本の素晴らしい物差しも多々あります。自分の尺度もしっかり持ちながら、相手の尺度も尊重することが本当のグローバルだと感じています。



- 台湾での生活をどのように楽しんでいらっしゃいますか。上海と比べていかがでしょうか。-

 人生半世紀という我々の年代で平均的なゴルフ・飲食を公私ともに楽しんで
います。特に私たちセールスプロモーション代理店の仕事は基本的にサービス業のため、お客様のタイムテーブルとの戦いで24時間営業ですから、余暇が取れた時の気心知れた友人・知人とのプライベートなゴルフ・映画・飲食
は大切にしています。そのための場所・空間を台湾も上海もふんだんに
提供してくれますが、数多くのローカルの方々とそういった機会を持てる台湾に比べ、まだまだ、上海では一部の方々しかそういう機会を持てていないような気がします。


-覚えた中国語の言葉についてのエピソードがございましたらお願いいたします-
 それぞれの国での内販事業拡大とともに、アジアでのグループネットワーク構築が私の使命のため、会議・資料の共通言語は日本語でも中国語でもなく英語となっています。したがって、中国語はきちんと習う機会もなく、お酒の勢いを借りなければならない初級のさらに手前といった感じですが、それだけにお世辞でからかわれる機会が多く、それに対する「拍馬屁(パイ・マー・ピー)」=嘘でも嬉しい=をよく使い、その発音が素晴らしいと、さらにまたお世辞でからかわれております(苦笑)


-台湾で今まで印象に残る出会いがありましたら教えてください-

 仕事柄、台湾の著名人、特に芸能・マスコミ関係の方々との接点も多いのですが、弊社には私以外ひとりも日本人はいない為、会社設立以来7年の長きに亘って一緒に苦楽を共に働いてきてくれた副総経理以下4名のローカルの幹部社員たちが私にとって最も大切なパートナーであり、友人と思っています。また、台湾に拠点を置きながらも毎月アジア諸国を飛び回る生活ですし、規模も小さな会社ですので、プライベートでは台湾三田会が在台日本人・台湾人の方々とお知り合いになれる最高の機会で先輩・後輩の分け隔てなく、メンバー全員素晴らしい方々と感じています。


                      ()