塾員's Activity

台湾三田会 会員便り・・・Vol.10

台湾新幹線試験終わりました

野口雄一郎 さん (H9 経卒)

嘉義付近を走行中の新幹線。
700系と呼ばれる最新型


 昨年11月無我夢中で最盛期の台湾新幹線プロジェゼクトに飛び込んで10ヶ月が過ぎようとしています。いいかげんな土木工事だったので開通は永久に不可能だろう、無理してヨーロッパ仕様を適用したが結局使い物にならないだろう。わざわざ面白おかしく特集を組む、まことしやかなマスコミ報道でしたので皆様ご記憶に新しいと思います。ヨーロッパ連合が一括受注し、土木工事が終わった時点で日本連合が残りの車両、軌道、電気通信を逆転受注した経緯がありますので多くの複雑な局面を抱えながらプロジェクトが進行したのは事実です。台湾、フランス、イギリス、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、カナダ、マレーシア、南アフリカ、フィリピン、タイ、韓国、日本数え切れないほどの国々が参加したプロジェクトです。でもその中で新幹線を持っている国は数カ国です。中でも最も長い歴史と確かな技術を持つのは日本です。

 着任当初は会議で怒鳴りあう混乱のすごさにただ驚くばかりでした。私の仕事はコーディネーターです。何とかする義務があります。カオス理論で切り込んで見ました。どんな混乱もよく整理するといくつかのパターンに分類でき、解決が図れるというものです。そういう目でよく見るとさもわかったような発言を繰り返す高給取りの欧米人の技術能力、問題解決能力が低く単なるクレーマーに近いことを掴みました。また彼らに盲目的に従う日本人、台湾の方々の多いことも気がつきました。英語コンプレックスでしょうか?

何度か大事故が発生しました。偉そうなことを言っている白人が何の分析も、解決手段の提案すら出来ないのです。たまたま専門でもありましたし、現場ですぐ事象を分析し、解決案を示しプロジェクト全体工程に影響を与えることなく最短スケジュールで解決を図ることが数度続きました。職人国家日本の強みです。私に味方する台湾の方々が増えてきました。やがて欧米人が沈黙し従うようになってきました。

台中市烏日基地に駐車中の新幹線群

まだ数年は遅れるだろうというマスコミ報道に反し、5月には時速300km走行を達成し7月で全ての試験が終わり、8月から運転士習熟運転が始まっています。10月31日開業です。台湾新幹線より先に着工した九州新幹線を追い越しました。さすが台湾です。そういう訳でプロジェクト主要メンバーはほとんど8月帰国です。おかげさまで私も任務完了で8月末帰国です。

 その間台湾三田会に加入し、塾長來台歓迎会、慶應8連勝の慶早ゴルフコンペ参加など世界に広がる慶應のネットワークを実感し、励みにさせていただきました。台湾三田会はビジネススクール出身者が多いことも気がつきました。日吉に住んでいた私にとっては不思議な感慨を覚えます。

 ご支援いただいた皆様にお礼申し上げます。また来たいと思います。
                                    以上
 

勤務先台湾新幹線國際エンジニアリング
で勤務中の野口さん。
300km/h達成記念パーティー