塾員's Activity No.09

台湾三田会元会員便り・・・VOl.4

上領 泰司さん
(S44 法卒/2004年4月帰国)



‘三田キャンパス再訪記’


ああ麗しき三田の山、第二の故郷三田の山!!!

帰国して2年目、今年で還暦を迎えます(手放しで感謝還暦、雨あられです!!)。最初の勤務先であった富士通時代の上司(写真ではノーネクタイの東大OBの山下宏氏と京大OBの池田明氏)とは時々飲み食いする所謂「気の置けない」人生の師であり友です。
啓蟄の過ぎる頃に、普段滅多に行けない処に行きましょうと云う事で協議した結果、あの麗しの赤レンガ建築(図書館旧館)の在る慶應三田キャンパス見学で合意。

勿論、塾員である私が当然熟知している筈ですが、何せ三田で学んだのは38年も昔の事、昨夜のおかずが何であったかも覚えていない頼りない記憶力、思案のすえ、ずうずうしくも慶應義塾総務部広報にキャンパスツアーの案内を哀訴嘆願した次第。
駄目元式イタリヤ人の要請に対して、果たして、塾広報の対応は、普段はお受けしていませんが、今回は特別に「説明と同行案内」を快諾との対応、感激のあまり欣喜雀躍状態!!東大、京大では絶対起こり得ないと仲間内で話しました。

訪問日は平成18年3月8日と決まり、当日は総務部のアポ前に教職員専用食堂で昼食。午後1時に教職員専用食堂の入り口で、何と食事を終えられたばかりの「安西祐一郎塾長」に遭遇、普通はそのままですが、ずうずうしい私の対応は違った、

私:あー安西塾長!!私は昭和44年に法学部を卒業した上領です。
  はじめまして!!

  5月7日には台湾三田会をご訪問されるそうですね。

安西塾長:(あっけにとられた感じで)そうなんです。
     今も台湾にお住まいですか?


私:2年前に帰国。台湾三田会のOBです。
  台湾三田会の皆様が塾長の来台を楽しみにしております。失礼します。


東大OBの山下氏は「おれが本郷キャンパスで学長に遭遇しても、話し掛けはしないぞ!」と皆唖然。しかし、塾長もさぞや挙動不審者の思い掛けない行動に驚かれた事と反省しきりです。

教職員専用食堂はパレスホテルの経営、食事も美味しく上品な雰囲気でいちおしです。晴天ポカポカ陽気のキャンパス、約束の2時に塾監局1階に直行、総務部広報担当の中村真紀子様と面会。大正15年施工の塾監局は昔のまま、隙間もあり冬は寒く、夏は暑くて大変だと思いますが、歴史的な建物でもありおいそれと壊せないのでしょう。

要領を得た鳥瞰図的説明に続き、あの図書館旧館(重要文化財)を見学、内部のステンドグラス(日本に初めて近代教育をもたらした塾の姿を示している)や福澤先生のゆかりの陳列品もある。創立50年の明治40年に建てられ、関東大地震と東京大空襲に遭い大改修されてはいるものの、綺麗に維持されている。東大の安田講堂や早稲田の大隈講堂に匹敵する塾の象徴でもあり、まさに「ああ、麗しき三田の山、第二の故郷、三田の山」なりです。

写真左:図書館旧館ステンドグラス
写真上:福沢諭吉先生と記念写真
      (左端:上領さん)

図書館旧館の八角搭脇のこ高い丘には、「さまよひ来れば秋草のひとつ残りて咲にけりおもかげ見えてく 手折ればくるし花散りぬ」の佐藤春夫の歌碑がある。

続いて、アメリカ西部の教会を模して建てられた「三田演説館(重要文化財)」に移動。福澤先生が日本を近代的な国家にしたいと考え、スピーチを演説にデベートを討論と訳されて、明治8年に建てられている、犬養毅首相や憲政の神様と云われた尾崎行雄などが輩出している。内部は非公開で、名誉学位授与式などに使用されている模様。

旧幻の門の在った処には、2000年4月東館が開館。旧図書館と調和する赤レンガ風のアーケード入りで、三田キャンパスの新しいシンボルになっている(入り口には、天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらずというラテン語が書かれている)

東館

最後に、2004年4月に開校した法科大学院の最新設備を見学、「法曹界における21世紀の先導者」を養成すると云う趣旨で発足。司法試験では全国大學で3位の実績。
今回のキャンパス見学で塾の変えてはいけない「古き良き伝統」と同時に時代の要請にこたえて変えなければいけない「新しき挑戦」に触れ、慶應義塾の未来永劫的発展を確信した。
これから慶應を受験される方には、偏差値の高さだけではなく独立自尊を貫いた福澤先生に共鳴共感して欲しいと思います。

最後に一言、昭和40年2月頃に、今は亡き母と入学金の支払いに三田キャンパスに来た事をふと思い出し、涙しました、あの頃、決して豊かではなかった生活のなかから学費を何とか工面してくれた両親に遅ればせながら感謝する機会になりました!!

総務部広報の中村真紀子さん、本当にありがとうございました!!
(写真提供は池田明氏でした、深謝します) 

皆で記念撮影 中央:総務部広報中村さん


こちらからも 三田キャンパスをご覧になれます 
http://www.keio.ac.jp/nagameru/mita/mita.htm
 慶応義塾大学HP〔三田キャンパス探検〕